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7月, 2021の投稿を表示しています

間と呼吸

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 演技の練習を始めて、まずぶつかる難題は「間と呼吸」かもしれません。なぜ日本の演劇人がこのことが好きなのかよくわからないのですが、西洋の演劇指導書などにはあまり出てこないフレーズのような気がします。日本では「間合い」とか「息を合わす」とか、武道を始めいろいろなところで「間」や「息」が使われますが、そういうこと(概念)が伝統的に好きなのかもしれません。  さて、今日の練習のテーマはまさに「間と呼吸」。いきなりハイレベルな感じですが、私の大雑把な解釈では、演技者同士が演技している本人の(例えば「演じて」と言われて若干緊張している体と呼吸の)状態ではなく、演じている役(それも本人がやっているのでややこしいですが)に要求されていることに集中することによって、その役が役としての状況にあるための、自然でいきいきとした体や呼吸の状態になるということだと思います。いわばリラックスした状態のことで、そうした状態にあると、相手役の反応も受け入れられやすく、やりとりもパターン化したものではなく、豊かな感じになる。そんなところだと思っています。  ということで、今日行ったワークは「Yes No ゲーム」というゲームです。2人の人が向き合って、一人はYesというセリフだけを。もう一人はNoというセリフだけを使って、相手に自分のセリフを言わせた方が勝ちというシンプルなゲームです。(写真) ゲームのいいところは、ゲームを楽しみながら、勝負や相手に集中させやすい点にあると思います。緊張すると呼吸が浅くなりがちですが、そんな状態を見てトレーナーが「リラックスして」「深く呼吸して」と言ったところでなかなかリラックスできるものではありませんよね。ゲームを通じて、呼吸のバリエーションを多様にしつつ、相手にも集中することで、リラックスした状態に近づけ、相手からの投げかけにいろいろなパターンで応酬しようとすることで、「いい感じのやりとり」を体験できる。そんな効果を狙っているのだと思います。

取材を兼ねた練習

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  前回に続き、村上さんが台本を書くために、参加者の個性や、関係の設定についてなどを取材する目的を兼ねた練習となりました。以前の練習でも行った、「ペーパーズ」と呼ばれる即興演技の練習の後には、「うそ自己紹介」を行いました。(写真)これは、完全に架空の人物になりきって自己紹介する練習です。ポイントは、その人物になりきる、ことです。  練習では、自分とはだいぶ離れたキャラクターから、近い方まで、みなさん、とてもいきいきとその人物になりきって「自己紹介」していました。  ふりかえりでは、参考になるような知り合いや、本などの登場人物をもとに多くの方が「架空の私」を作り出していたと話していました。台本に書かれた役を演じる際にも、その役への手がかりをそうしたところから探したりします。 台本ができてきて、役が与えられた際にもきっと役立つのではないでしょうか。

エチュード

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 村上さんの作品では、即興(エチュードと言ったりします)を練習で行いながら、作品のモチーフやディテールをそこに取材したりします。作家によっては、ほとんどそうしたことは行わず、「作品」として書き上げた戯曲(台本)を使って作品を作る方もいらっしゃるのですが、村上さんはエチュードの中から役者さんの特徴や、個性を活かしたキャラクターや関係を見つけ出していくのが得意な作家さんです。  さて、今日は先週からの続きで既成の戯曲の一部をテキストに、少し演出を加えての練習を行った(右写真)のちに、エチュードの練習をおこないました。セリフを割り振られると、特に経験の浅い方などはそれにとらわれ過ぎてしまい、そのシーンがどのような場面かよりも自分が喋るセリフに意識が向きがちになります。即興練習の良さはセリフにとらわれないので、シーンそのものに集中することができます。本日最初の台本を使った練習では、書かれてないセリフをアドリブで発してもいいという指示が出ましたが、遠慮もあるのか、若干演技に不自由さが見受けられました。いっぽうで後半のエチュード練習では、みなさんいきいきと「演技」されていたのが印象的でした。 <募集延長してます> こちらのクラスでは、男性に限り参加者募集を延長しています。興味ある方は「村上ラボ問い合わせ」と件名にご記入の上、labo@gekken.netまでお気軽にお問い合わせください。演劇経験不問です。

ペーパーズ

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 「ペーパーズ」と呼ばれる、即興演劇の方法があります。小さな紙にいろんなお題をいろいろな人に書いてもらって、即興で演技しながらその紙を拾ってそこに書いてあるセリフを言いながら即興演劇を成立させていくという方法です。 今日のお題は「今叫びたいこと」。これをみんなが紙に書いて折りたたみ、床にランダムに置いてそれを拾いながら演技します。 この練習は、紙に書かれている思いもしなかったセリフがありえない状況で飛び出し、演じている人も、見ている人もその意外性に戸惑ったり、ハプニングに大笑いしたりして楽しめます。 本来は、設定なしで本当に即興でやったりしますが、今日の練習ではあらかじめ登場人物の設定とシチュエーション(場所)を決めてから演技しました。 近しい関係よりも離れた関係で、(ステータスと言ったりしますが)上下関係や力関係がはなれている設定のほうが、やりやすいということで、それをあらかじめ指定した上で演技しました。医者と患者が焼肉屋で出会う、といったユニークな設定のもと、意外性溢れる会話が展開しました。 慣れていないと状況を受け止めきれず戸惑うこともあるのですが、みなさんのびのびと演技されていて、爆笑シーンもあり、とても楽しむことができました。

東京

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 長いおやすみを経て前回から再開したこのチームです。本来はそろそろ台本ができてくるはずだったのですが、こちらもワークショップができなかったために遅れる見込みです。 さて、今回創作するお芝居のモチーフは「東京」の予定だそうです。演劇をしている人にとって、東京は憧れの場所です。「東京で成功するぜ!」そう言って何人もの若い演劇人が京都を去って行きました。 このお芝居にも、東京に行こうか迷う若者が登場しそうです。東京に行くのか、行かないのかはたして、夢は叶うのか・・・。 今日は、そんな設定を村上慎太郎さんが書き起こした短い台本を使った練習をしました。似た経験がみなさんにもあるのか、いきいきとしたセリフが発せられていました。