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【2022.7.23】伝わる演技

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前半は「はぁって言うゲーム」で遊びました。 「ぷよぷよ」の生みの親、米光一成の考案したコミュニケーションゲームです。 (米光一成はいろんな遊びを発明するのが非常に上手く、TVゲーム制作をやめて以降も、様々な優れたゲームを生み出しています。) このゲーム、「はぁ」などといったごくごく単純な一語を、様々な状況に即して様々に言い換えるというもの。 『なんで?の「はぁ」』、『怒りの「はぁ」』、『おどろきの「はぁ」』などといった具合に。 単純なだけに奥が深く、演技のいろはがつまっています。 やってみればわかりますが、似たような演技にならざるをえないような、微妙なお題があります。かなり意識的に、工夫して演じ分けなければなりません。 演じ分けること、が観客の分かること、に当然つながりますので、俳優としては必要な技量。 みんなだいぶ苦戦していましたが、少しずつ修得していきたい! 後半は少しずつ戯曲を読み進めました。 その一部に「自分で考案した(しかしルールの判然としない)遊びを相手に説明する」というくだりがあります。 ボール遊びをしながら、どうすると得点、どうするとファール、と即興で適当に言い募るという練習?遊び?をしました。 理不尽なルールでも押し付けるという、小さなレベルの不条理。 これを小気味よくやれるかどうか、というのは意外と難しい。 楽しみながらも、悪戦苦闘しました。 担当:渡辺健一郎

【2022.7.16】登場、退場

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 演劇では、舞台の外で起こっていることを、登場人物のセリフや演技で観客に想像させる(想起させる)手法がよく使われます。 例えば、慌てふためいた様子で登場してきた人物が、「大変だ、火の手がこっちに迫ってるよ!」と切実に訴えれば、舞台の外で深刻な事態が差し迫っていることを観客は知らず知らず、受け入れてしまいます。 演じる側に立てば、外の世界で起きている状況を、いかに表現するかによって、観客が疑いもなくその世界に引き込まれるか、あまりリアリティを感じられずしらけるかに別れてしまうわけです。 何しろ、舞台の袖では何も起きていないのですから、あくまで俳優がその状況を想像によって作り出して、全身を使ってその状況にある人物を演じなければなりません。観客がその演技にリアリティを感じられれば、その状況に引き込まれ、次なる展開をじっと見守ってくれるでしょうし、逆にリアリティを感じられないと、「嘘っぽく」見えてついてきてくれないのです。 今日の練習では、そんな登場と退場の効果やテクニックについて解説を聞いたのちに、台本を使って、舞台上の世界と舞台の外の世界を意識して演技してみました。 ちなみに、今年の4月に行われた前回公演は、舞台は劇場(ホール)の控え室という設定でした。観客からは見えない「ステージ」では、着々とファッションショーの準備が進行しているようです。観客には会議室のような控え室しか見えませんが、登場人物の会話や演技で着々と進む準備の様子や、ステージの状況、ショーの様子などを想像させました。まさに今日の練習のようなことが詰まった作品でした。 前作や今日のような練習を経て、見えていない世界をよりお客様に感じてもらえる腕もきっと上がっていくことでしょう。

【2022.7.9】Q and A

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演劇は 台本をもとに演じることがおおいので、台本をどう読み込むかは多くの役者が考えるテーマですよね。内容的に理解できていることはもちろん大切ですが、演技するうえでは会話として書かれていない、言外の部分が大事になるので、演じる人物がそのときどういう状態なのかや、意識がどこに向かっているかなど、役者自身がよく読み込んで人物造形をふくらませたりします。  今日行った分析はどちらかというと「その会話」は「劇」をどう面白くしているか。ということです。劇作家が劇の内容ではなく、劇の流れをどう作ろうとしてその会話を書いているか・・・みたいなことだと思います。役者視点というより劇作家視点で分析してみる感じでしょうか。 村上さんからそうした説明を聞いたうえで、台本読みをしてみました。それで演技がうまくなるかどうかは分かりませんが、台本はこんなことを意識されて書かれているんだ・・・と知らなかった部分に目が開かれます。 今日村上さんから説明して頂いた例の一つは、会話の中の「Q and A」です。登場人物どうしの会話で1人が質問し、もう一人がどう答えるかという部分です。会話の中にはよく出てきますよね。 質問に対して「否定する」会話の場合、芝居としてはテンポが上がる傾向になります。見ている人に与える印象は「不安定」な印象です。つまり関係がぎくしゃくしていたり、何かありそうな印象を与えます。逆に「肯定する」会話の場合、お芝居のテンポは落ちる傾向になります。そのシーンに安心や安定を感じさせます。 作家は、テンポアップしたいところでは、否定し、落ち着かせたいときには肯定する台詞を書いたりするわけです。 今度お芝居見るときちょっと意識してみてはいかがでしょう。 劇作家視点でお芝居を楽しめるかもしれません。

【2022.7.2】ベクトル

 村上さんは台本を書くとき、登場人物の意識がどこに向かっているかその「ベクトル」を意識して書いているそうです。登場人物の意識が向ている方向と強さによって、芝居の面白さが変わってきます。それを「ベクトル」としてイメージして、芝居が面白さを増すようなベクトルを想定して台本を書いているという事だと思います。今日の稽古では、ベクトルの強さを増すために、演じている役者に見ているメンバーがエールを送って、ベクトルを強くさせる(強くする)体験をしました。(映像)不思議な稽古ですよね。でも意識の強さが増すと芝居の面白さが変わるということが実感できる、ユニークな試みだと思いました。

【2022.6.18】劇団もの

 劇団や映画の舞台裏を舞台にした、演劇や映画は多数あります。若いころはなぜかそれがきらいでした。「その業界」の独特なルールや習慣、用語みたいなものが、鼻についたのです。業界ことばを知ってたり、使う人が、その人たちのコミュニティとそうでない人のコミュニティを分けてるようで、やな感じでした。この頃はあまり見かけませんが、テレビ業界のことば(ことばをさかさにするやつ)などを日常会話でつかう奴などとは、友達になれませんでした。  なのに、演劇を始めて「業界人ぽい」言葉を使う快感に目覚めてしまったのです。夜なのに「おはようございます」、「なぐり持ってきて」、「これ見切れてる?」など、使い始めの頃はときめいたものです。  用語と同様に、劇団などでは団によって独特のルールもあったりします。団内恋愛がばれるとつきあっているどちらかが辞めさせられる劇団があったり、このごろはとっても一般的になった、「ファミマ」とか「セブイレ」みたいに短縮ことばを座員が使うのを許さない劇団などもありました。  さて、今日読み合わせした「劇団もの」と題された試作台本も劇団という小さなのコミュニティの中の人間模様を描く作品でした。劇団に所属したことがある人ならば「あるある」と納得できるエピソードがきっと満載の作品になることでしょう。 そういえば「おはようございます」は朝しか使ってはだめ、という劇団もあったなぁ。