投稿

10月, 2023の投稿を表示しています

【2023.10.21】関係ないことしながら会話する

イメージ
 即興を繰り返しながら、作品の基になる素材を探す練習が繰り返されています。 写真はそんな即興のワンシーンです。草野球?をしているようなシーンですが、例えば野球しながら言葉を交わすとか(日常でもそんなことはありますが)行なっている行為と全然関係ない会話を交わしたりすると、劇の構造が多重になって面白くなったりします。  例えば映画でもそうしたシーンはありますが、映画は演劇よりリアルな感じがします。普通な感じがして、特に気に留めないことも多いです。でも舞台で行うと「虚構」が重なった感じで映像より面白くなることがあります。演じる方は大変ですが、激しいスポーツをしながら、全く次元の違う会話をしたりすると見ている方はその意外性を楽しめたりします。目の前で激しく体を動かしている人の熱と、交わされる会話のずれが面白さを増幅するのだと思いますが、そんな表現はとても演劇的だと感じます。 ところで、演劇は男性の少なさが悩みのタネであることが多いのですが、このチームは男性が半数近いということで、この頃では稀な男女比となっています。男性が多いことで表現の幅も広がるので、このチームのように数がもっと増えたらいいなと願っています。

【2023.10.14】社会性からの自由

イメージ
演劇では日常ではあまり体験できない人間模様を描き出すことはよくあります。不倫や嫉妬、裏切りなど実生活ではちょっと問題になりそうなシチュエーションも、 演劇ではしょっちゅう登場します。今回のお芝居も恋愛がテーマなので、ドロドロした人間模様が繰り広げられる予感もします。お芝居とわかっていれば、人はそういうのを見るのが案外好きなのでしょう。 演じる側としては、そこにリアリティを感じさせるよう演じる必要があるわけですが、人によっては過去に辛い体験があってそれがトラウマになっていたり、「そうした反社会的なことはどうしても許せない」みたいに強い思いがある場合は、そうした役を演じられない場合もあったりします。演技の訓練では実社会の「社会性」をひきずらないように、安心して演じられる状況や環境を作ったりして、舞台の上ではなるべく自由になるように自分をコントロールできるよう導いたりするんですが、どうしても無理な場合にはそうした役はしない のが無難でしょう。 一方で、そうした非日常が楽しい人もいたりします。楽しいと感じられる理由には、日頃がんじがらめになっている「社会性」や「暗黙のルール」「人間関係」などから自由になれることがあるのかもしれません。

【2023.10.7】いい関係がいい作品を作る!?

イメージ
 今日からの新たなメンバーも加わり、半年後の公演に向けた顔ぶれが固まりそうです。このチーム「デマチカヤナギ」は、幅広い年齢の方が参加していますがとても仲が良く、欠席したメンバーのために自主的に休んだ時の稽古内容を知らせあったりしています。 演劇を作る上でチームワークは大切だと思います。それは、言い換えれば「信頼関係ができている」ということなのだと思います。  演出家と出演者との信頼関係が大事なのはもとより、役者さん同士の信頼関係も同じです。お芝居をしたことがないと、台本に書かれている通り演じればできあがると思ってしまうこともありますが、現実はそうではありません。 台本には、最初から結末まで書いてありますが、お客さんは目の前で起こることを見てゆくわけです。一人の人が出てきた/その人が舞台上で右往左往している/もう一人の人が出てきた/(その人の様子を見て)「どうしたの?何か探しているの?」「うん、パスポートが見あたらないんだ」 このやり取りで、お客さんは右往左往している人が、「パスポートを探していただんだ」と理解できるわけですが、「うん、パスポートが見あたらないんだ」のセリフが(パスポートを探しているにも関わらず)「それ、こたえなきゃいけないの」だったりしたらどうでしょう。2人の間には何か緊張感を感じます。例えば「それ、こたえなきゃいけないの」と言うのと同じ心情と動作で「うん、パスポートが見あたらないんだ」と言ってみたらどうでしょう。同じセリフなのに、やっぱりギクシャクした何かを感じさせることができそうです。  このように、演劇は人の演技やアクションをどうほかの人が引き受け、どうリアクションを取るかで変化します。見ている人はその変化を(意識しないにしても)感じているのです。同じ台本を使っていても面白い芝居と面白くない芝居ができてしまうのは、こうした一つ一つのやり取りに違いがあるのです。ざっくり言えば、一つ一つのやり取りが豊かで創造的であればあるほど、面白くなるのです。  多くの場合、他人行儀な関係やギクシャクしている関係からは豊かで創造的なシーンは生まれづらいです。なぜならその関係自体が緊張感をはらんでいて、豊かにできるような「あそび」が生まれづらいからです。逆に「あそび」が生まれるような稽古場は楽しいものです。

【2023.9.30】オノマトペ

イメージ
日本語は「びちゃびちゃ」とか「ペチャクチャ」とか「ビシバシ」とか擬音語とか擬態語といわれるような言語表現が多く出てきます。 欧米の言葉にはあまりないので、漫画などに出てくるこうした表現を訳すのに苦労されているということをどこかで聞いたことがあります。 こうした表現を「オノマトペ」と言ったりします。このオノマトペを使った演技練習は比較的一般的です。例えば、どこの国の言葉かわからない架空の言葉(オノマトペ)を使って即興練習したりします。即興をする場合、話す内容を考えることに意識が向きがちになるのですが、オノマトペを使うと内容を考えなくていいので、その場の雰囲気や状況に集中して演技することができるといったメリットがあります。 オノマトペを使った練習で面白いシーンができることもあります。時にはそれをそのまま使ってしまうなんてこともあるでしょう。 さて、今回の芝居では?結果をお楽しみに。