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【2023.11.11】他文化を演じる?

先日フランスの有名劇団「太陽劇団」の公演を観ました。日本とおぼしき国が登場する妄想の世界が舞台なのですが、フランス人をはじめ多国籍な俳優たちが 、「日本人」を演じていました。映画でも「これはどうかな」と思うような、「日本」が描かれることもあったりしますが、そこはさすが太陽劇団。トレーニングしたり勉強したりして、日本をイメージさせる見事な空想の世界を作っていました。日本人的な「礼」の自然さ(美しさ)なんかはよく訓練されていると思いました。西洋人の「礼」はちょっと不自然に感じたりもしますよね。  さて、今回のお芝居でももしかすると、外国(他文化)を描くシーンが登場するかもしれません。前述したようにお芝居や映画などで「外国」を扱うことは珍しくありません。自分のよく知らない「異国」には何か魅力を感じるのでしょう。例えば芝居の中でよその国の言葉を語る(仮にそれが想像の言葉であっても)ことだけでも、日本語とは違うわけですから、演劇的な効果を生むわけですが、演じることは言葉だけでなく行動を伴うわけですから、そこに考え方や行動様式の違いみたいなものも当然現れてきます。それはうまくやればとても面白い効果を生みます。でも、前述の日本人独特の仕草「礼」のように、そこにリアリティを持たすのは、なかなか難しかったりもします。前述の太陽劇団ですら「日本人はこうしないよね」と文化の差を感じるところがありました。実際のある国を参考にしたりすると、その国を知っている人からするとバカにされたように感じさせたり、雑に扱いすぎてシラけさせたりするリスクもあります。  日本も多文化化が進んでいます。自分とは違う考え方や、行動様式、言語を勉強したり、想像してみることは、とてもいいことなんじゃないかと思います。お芝居で描く際にもそんな「文化背景」を意識して丁寧に作ってみると、より深まっていいんじゃないかと思います。

【2023.11.4】リラックス

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稽古前に毎回全員でウォームアップをするのがこのチームの特徴です。村上さんはいい雰囲気を作るのが上手な方で、稽古場はいつも楽しい空気に包まれます。今日行った早口言葉の練習は、ただ機械的に早口言葉を言うのではなく、会話のように言ってみました(写真)。間違えたり、微妙に言えなかったり、完璧に言えたり、滑舌の練習ですが笑いがこぼれて和みます。「東京特許許可局局長今日急遽許可却下」こんなセリフ出てきたら大変ですよね。  さて、演劇をする上で(稽古する上でも)役者にとって大事なことは「リラックス」です。昔の演劇の稽古はとても厳しくて、あの環境でリラックスするのは相当大変だったと思いますが、現代はリラックスできるよう現場を整えるのが主流です。厳しく鍛えないと全員が共有できない特殊な技法や、鍛えぬかれた肉体でしか出せない表現などをする劇団は今もありますので、そんな場合はトレーニング重視でリラックスはあまり気にしないということもあるでしょう。それでも実はリラックスは大事です。 面白い表現をするとき(そうしたものを作り出そうとする時も)、まず「集中」が肝心です。演劇で集中するというのは例えば読書に集中して他の雑音が全く気にならない。みたいに、ある一点に集中するということではなく、芝居の流れや観客の意識など幅広く意識を巡らせながら、かつ自分の演技が途切れないように保てる状態を言います。集中が切れた演技は観客に伝わりますし、退屈を生んでしまいます。 そして、面白いものを作るためには「こんなことしたら変かな」とか「恥ずかしい」といったことを気にせず、なんでもできる(していいと思える)雰囲気を作り、自分の心もそうした状態にすることです。 そのように、集中が高く体も(呼吸も)緊張でこわばっていない、開かれた状態で、自由自在に動ける状態がリラックスした状態なのです。稽古のはじめに多くの劇団では体操をしたり、発声練習をしたりいろいろな準備をすると思いますが、上手なファシリテーターはリラックスを心がけています。これは実は指導する側にとっても大切で、稽古場の雰囲気がガチガチに硬くなっている時には指導する方も緊張してしまうので柔軟なアイデアは出づらいのです。「遊びごころ」と言ったりしますが、意表をついたヒラメキが芝居を面白くしたりします。能のように「型」が決まっている演技であっても、その動きや発語の中に客

【2023.10.23】ヒアリング

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 役の設定や背景を考えるにあたって、村上さんは出演者にヒアリングして、そうした意見を参考にしていきます。このチームには幅広い年代がいるので、人生経験も豊富です。そうした方からのお話は、事実に基づいていたり、実際の体験をもとにした話だったりするので、設定にも膨らみが出ますし、細部にリアリティがでます。同年代ばかりの劇団だとなかなかこうはいかないのではないでしょうか。  ちなみに、今回も役名をその役を演じる役者さん自ら決めることになっています。役のキャラクターを作り上げていくのに、自分自身 も深く関わっていくのできっと愛着も深まるのではないでしょうか。