劇研アクターズラボ＋村上慎太郎（京都公演クラス）

 マクシム・ゴーリキーの有名な戯曲「どん底」と今回作っている作品は通底する雰囲気があります。「どん底」は古い映画ファンならご存知の方も多いと思いますが、黒澤明が舞台を江戸時代の貧しい長屋に置き換えて映画化したことでも有名です。 　どうしようもない事情で社会の底辺で暮らさざるをえない人々がいます。そうした人に焦点を当てた作品がこの「どん底」です。現代の日本でも格差が社会問題になっていますが、今に限らずいつの時代にも社会的弱者や、貧困から抜け出せない人はいたはずです。「どん底」はそうした人々のやるせなさを描きながらも、したたかに生き抜くたくましさも描いています。 　今回の作品を作るにあたって、演出家からは「どん底」についての解説がありました。メンバーも近年上演された舞台映像や、映画などの情報を共有してそれらを参考にしています。 　120年も前に書かれた作品（戯曲）が今もこうして参考にされるのはすごいことです。変わらぬ人の本性が描かれているからでしょう。 今回作ろうとしている作品が、そうした普遍性をたたえたものになれば素晴らしいと思います。