間と呼吸

 演技の練習を始めて、まずぶつかる難題は「間と呼吸」かもしれません。なぜ日本の演劇人がこのことが好きなのかよくわからないのですが、西洋の演劇指導書などにはあまり出てこないフレーズのような気がします。日本では「間合い」とか「息を合わす」とか、武道を始めいろいろなところで「間」や「息」が使われますが、そういうこと(概念)が伝統的に好きなのかもしれません。

 さて、今日の練習のテーマはまさに「間と呼吸」。いきなりハイレベルな感じですが、私の大雑把な解釈では、演技者同士が演技している本人の(例えば「演じて」と言われて若干緊張している体と呼吸の)状態ではなく、演じている役(それも本人がやっているのでややこしいですが)に要求されていることに集中することによって、その役が役としての状況にあるための、自然でいきいきとした体や呼吸の状態になるということだと思います。いわばリラックスした状態のことで、そうした状態にあると、相手役の反応も受け入れられやすく、やりとりもパターン化したものではなく、豊かな感じになる。そんなところだと思っています。

 ということで、今日行ったワークは「Yes No ゲーム」というゲームです。2人の人が向き合って、一人はYesというセリフだけを。もう一人はNoというセリフだけを使って、相手に自分のセリフを言わせた方が勝ちというシンプルなゲームです。(写真)

ゲームのいいところは、ゲームを楽しみながら、勝負や相手に集中させやすい点にあると思います。緊張すると呼吸が浅くなりがちですが、そんな状態を見てトレーナーが「リラックスして」「深く呼吸して」と言ったところでなかなかリラックスできるものではありませんよね。ゲームを通じて、呼吸のバリエーションを多様にしつつ、相手にも集中することで、リラックスした状態に近づけ、相手からの投げかけにいろいろなパターンで応酬しようとすることで、「いい感じのやりとり」を体験できる。そんな効果を狙っているのだと思います。

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