投稿

6月, 2023の投稿を表示しています

【2023.6.24】小道具の扱い2

イメージ
  前回に引き続き、先週と同じテキストを使って小道具の扱いをテーマにした練習を行いました。3グループに分かれてそれぞれ工夫してシーンを作ります。  小道具は扱いによって、お芝居をより面白くしてくれます。今日の練習で扱うのは、コーヒーカップ(に見立てた紙コップ)だけですが、扱い方で色々な可能性が見えてきます。 ポイントとしては、小道具を扱うことで相手役のリアクション(意識)が変わることです。つい自分の役の感情だけで扱いがちになりますが、相手役にもお客さんにも「はっ」と思わせたり「おや」っと思わせることができればなかなかです。練習では各チーム色々な工夫が見られ楽しかったです。カップを運んできた人がどの順番でカップを置くかとか、どんな置き方で置くかといった細かいことでも何かが感じられ面白いと思いました。 そして最後には各チームで作ったシーンを発表しました。(写真)  今日の練習では予想していたのと違ったカップが出てきたとき、「おや!」という意識でそれに顔を近づけてまじまじと見たり、手にとって(お客さんにもわかりやすいように)差し上げたりといった動作が見られました。例えばまじまじと見ることで、かがむ姿勢になったりします。それは小道具の登場で、俳優の姿勢(頭の高さ)を変える動きにつながっているわけですが、せっかく高さが変わったので、その変わった高さのまま相手を見たり会話すれば違和感が出て、より面白くなったりします。このように小道具によって生まれた変化を意識したり、ちょっと客観的視点を重視したりしても工夫の範囲は広がって楽しいです。

【2023.6.17】小道具の活用

イメージ
 お芝居で使う、持って移動できる道具を「小道具」と言います。お芝居を演じる上で、小道具は色々役立ちます。「役立つ」というのは、使い方で芝居を面白くしてくれるのです。 例えば小道具で、登場人物の感情や、心の動きを実に自然に、端的に表現することだってできます。今日の練習ではそんな小道具の扱いに焦点を当てて練習しました。与えられた短い台本は「カフェで繰り広げられる男女のもめごと」のシーンです。これを小道具を活用することを意識して練習しました。(写真はコーヒーカップに見立てた代用の小道具、紙コップです) さて、コーヒーカップをもてあそびながら台詞を語るのと、机に置いたまま台詞を語るのでは、印象は違いますよね。ちびりちびりコーヒーを飲むのと、一気に飲み干すのでも随分違った印象を与えるでしょうし、他の人がコーヒーを飲む中で、出されたコーヒーに一切手を付けなければ、それだけで何かが感じ取れます。台詞は原則変えてはいけませんが、台詞を変えなくても小道具の活用しだいで、芝居のリアリティや深みが増すのです。またト書きに小道具の扱いが書かれている場合は、しなければいけないのですが、それをどのように行うかも役者の創造性が発揮できて楽しいところです。例えば「バックから封筒を取り出し、相手に渡す」と書いてあった場合でも、渡し方は幾通りもあります。ゆっくり渡す、さっと渡す、押し付けるように渡す、などなどいろんなパターンを試せます。ト書きに指定が無ければ、役者の工夫できる範囲はより広がります。小道具の登場で、場の空気が変わるなんてこともよくありますよね。このように、せっかく登場する小道具はいい感じに活かしてあげたいものですね。

【2023.6.3】セリフと芝居の流れ

イメージ
 いよいよこのチームの3期目がスタートしました。(といってもまだ募集は続いているので、興味ある方は諦めずにお問い合わせくださいね。問い合わせは こちら から) たぶん多くの演出家がセリフの掛け合いについて「呼吸が大切」とか「間(ま)が大事」とかいうことを言ったりします。村上さんもそうしたことを稽古場で言ったりします。今日のワークは「それってどういうこと?」を体験しながら理解してもらうためのものでした。  説明するのはちょっと野暮ですが、例えば「わずかでも衝撃を与えると爆発する爆弾が入っている」想定のバックを隣の人に手渡ししながら、関係のない会話をするワークをしました(写真)。こうした状況で発する言葉は、発語のしかたも、間や語り口調も、同じ内容をリラックスして話す時とは変わってきます。セリフを覚えようとする時、セリフ(書かれた言葉)の内容にとらわれてしまいがちです。しかし例えばこのワーク場合、セリフがこのシチュエーションで話されるからこそ面白くなることを理解できていることが大事です。「わずかでも衝撃を与えると爆発する爆弾が入っている」カバンを渡さなければならないという状況で、そうなった時の体の具合(息が詰まっていたり、手が震えるような感じなど)を作った上で、そこの状態で発語することです。村上さんはよく「芝居の流れ」という言葉を使いますが、それはストーリーの流れというだけではなく、シーンの中で登場人物がどのような状況に置かれていて、それがどのように変化していくか、関係が変わっていくか、緊張が強まったり、緩んだりするかといった変化の流れのことを表しているのだと思います。セリフだけで流れが変わるのではなく、他のきっかけで変化することも多々あります。先ほどのワーク場合、カバンを渡し終えた時とかです。カバンを渡し終えれば緊張がほぐれますよね。そんな時話し方も変わる気がしませんか? そうしたことが芝居の「流れ」を形作っていて、そうした流れをつかんだ上でセリフを覚え、発することが大事ということなのだと思います。 さて、写真では伝わりませんが、この状況で関係のない会話をするのは、不自然ですが見ていて飽きません。これこそ演劇的ですよね。