投稿

12月, 2021の投稿を表示しています

リアルは「演技」より奇なり

イメージ
  12月25日 13:30-17:30   担当:渡辺健一郎 年内最後の稽古は、長めに4時間。今日は突発、課外(?)活動。 稽古場付近、街なかに陣取って、辺りの人々を観察しよう、それを演じて数分の作品にしようというもの。 最終的には現実に生きている人たちを「そのまま」写しとる(ナチュラリズム)のではなく、 上演という新たな現実に置き換える(リアリズム)、というのが演劇の課題だと村上さんは考えているようですが、 まずはいったん「そのまま」を目指してみようということになりました。 とはいえ、自分とはセクシュアリティや年齢の異なる役を演じなければならないことにもなったりするので、少なからず演出は必要になってきます。 それでも「その人たち」が「確かにそこにいる」なぁ、という感覚はほしい。 しかし演技に照れがあったりすると、どうしても俳優自身の存在感が前に出てきてしまう。 みんなが創作している途中、村上さんは「気温」の要素を考慮に入れてほしい、とオーダーを出しました。 これは恐らく、暖かい室内で演じる俳優たちが、「外」のことに注意を向けて、集中できる様にできるようにするためです。 演技の場合には、幾許かの制約があった方が、変な緊張が取れるなどして上手くいく場合がある。 指示の出し方の妙、もあった様に思います。どのチームの発表も面白かった。 例えば鴨川での親子を写し取ったチーム。6歳前後?のこどもが飛石渡りに成功して喜んでいるのに、全然反応しない親。というワンシーン。 「親子」ってこういうもの、という枠組の中で考えていると、こういう演技はなかなか難しい。 子どもの一挙手一投足に愛情を持って反応したりしてしまう。 でも、子どもに愛はあっても、寒かったりして意外とドライな対応をしたりする。見守るだけ、みたいな。 ただ案外「現実」ってそんなもんだな、など。 演技の機微を、脳内からのみ生み出すのはやはり難しい。 実際の「外」を見て、リアリティってどういうことなのか、それを問いなおす稽古となりました。

ファッションから思考する

イメージ
 このチームで次回上演する作品は「ファッション」にまつわる物語になりそうです。現代社会では、ファッションは着る人それぞれの「個性」を体現するものであり、求められる(もしくは、そこに意図されている)用途やデザインは、その時々の生活スタイルや人々の趣向、企業などの戦略を表しているとも言えます。  ファッションから社会を見て、社会を批評することが、ある説得力をもつのもうなずけます。このお芝居づくりを通して、改めてファッション文化について考えをめぐらす機会が持てたことは、貴重な経験です。今若い人たちにどんな服装が流行っているか、なんてことも知ることができて、おじさんには勉強になります。  本日の稽古でも、ある書籍の見出し(写真)からどんなイメージをもつかを基に、前回つかった「ト書きを使った即興の練習」をおこないました。印象的だった見出しを選び、それをテーマに相手チームにト書きだけから構成される短いシーンを書き、それぞれのチームが指定されたト書きを基に即興で演じるワークです。  内容のユニークさもさることながら、やや無茶ぶりと思われるような内容を実際演じてみると、ずっと面白くなります。今日も大笑いしながら見いってしまいました。

とりあえずやってみることから

イメージ
 今日からは中止になった講座分の補講で時間が増えて4時間の長い稽古です。普通の劇団並です。「体力的にはしんどいですが、時間が長いと(得られるものが多く)いい」と村上さんは言います。本日も引き続き即興を使った練習をいままでより、みっちり行いました。  同じ練習だけだと飽きが来るものですが、さすがこうした稽古の経験が豊富な村上さん。いろいろな方法で役者の個性やセリフを引き出します。ト書きを使ったエチュードで頭と体をほぐし、公演向けての設定から「でてきそうな役」を抽出して、その役の中から自分がやりたい役を選んで演じてみるというというのが、今日の流れでした。趣向がいままでと違うので、新鮮に取り組めている印象を受けました。演じるポイントは(あまり考えず)「とりあえずやってみる」こと。その中から面白いセリフや、シーンが生まれてきます。どんどん演じるうちに、演じ手ものびのびしてきて、「演じなければという束縛からはなれて」いくのを感じました。

発見は即興的に

イメージ
  12月4日 14:30-16:30   担当:渡辺健一郎 村上ラボの稽古場管理に初めて入りました。 演出家によって「演技」や「シーン」の構築をしていく態度が異なるのは当然のことですが、 「稽古場」をどういう空気で作っていくかに、やはり大きく個性が出る。 初めての稽古場には、入っていくだけで発見がいっぱいです。 さて村上ラボでは、状況や登場人物だけ設定して、即興で会話をしていく中で何か面白いものがないか 探っていくという方法を取っていました。 まずは2人の会話から始まる。しばらくフリーに喋らせた後、演出家の村上さんから「2人の間に割って入るように」などと3人目に参加の指示が出ます。 俳優が即興で演技をしていく中で、面白くなりそうな展開を膨らませるように、村上さんから「台詞」や「意図」の指示が出る。 あるいは停滞しそうになったら、場にいる人を交代させたり、小さな事件を起こさせたりして、手を加えていく。 俳優も即興ですが、それ以上に村上さんの即興力もフル稼働していた様に思います。 一つの状況に即して、7人の登場人物が出入りするだけでシーンを継続。このワークだけで1時間以上行っていました。 当然のことですが、同じ登場人物でも組み合わせによって場の空気は変わるし、事件の前と後とで2者間の関係は変わる。 飽きることなく1時間の芝居を観てしまいました。「ドラマ」の本質の一つを見たような気がします。 見てる方は楽しかったのですが、やっている方はかなりの集中力が必要になると思われます。 見た目以上にエネルギー消費の激しそうな稽古場でした。楽しい。