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【2022.8.27】私(以外)から

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 左京西部いきいき市民活動センター 会議室3 14:30-16:30  担当:渡辺健一郎 一口に「演劇」と言っても、創造のプロセス(何をモチーフにするか、どういうことを大事にするか、など)は集団によって様々に異なります。 何度か稽古場にお邪魔していますが、村上クラスでは「参加者個々人の趣味嗜好」と「その場で偶然に生まれたノリ」などが尊重されているなと感じられました。 俳優というのは難儀なもので、ときには自分と全く異なる性格のキャラクターを演じなければなりません。とっかかりが見つからないとこれが大変難しい。 ただ村上クラスでは今回、俳優たちが「どういう役柄に興味があるか」を出発点にして、各々のキャラクター設定を決め、それをもとに脚本が作られていきます。 「やってみたい役」ならば、多少ともイメージがつきやすく、いきいきと演技ができる。 しかし、俳優たちが各々に抱えているイメージ「だけ」を軸とするならば、集団創作になりません。演劇になりません。 より集まったキャラクターたちが特定の混み入った状況に置かれることで、様々な人間ドラマが生まれる。 適当に状況を設定して、その中でキャラクターたちが動き回ることでどんな面白いことが生じるか。つい口をついて出てしまった言葉がとてもハマったりする。それが貴重な創作のタネになっています。 各々の趣味嗜好と、ある種の偶然(俳優たちが思いもよらなかった言葉や展開)、このあわせ技。ブレンドするのは演出家の村上さんですが、しかしおそらく彼にもまだ展開は見えていないことでしょう。 ドラマの創作プロセス自体がドラマ的で、日々刷新されていく展開から、目が離せません。

【2022.8.13】5倍増し

 役者さんは、演技を通じて自分が表現したかったことを観客に伝える必要があります、例えば大きな劇場で、ステージと客席が離れていれば、離れた人に伝わる演技をする必要があります。日常より大きな仕草にしたり、曖昧な表現ではなく明確な表現にしたり、声が遠くまで届くように声を鍛えたり、言葉が聞き取りやすいように早口言葉を練習したりして滑舌(カツゼツ)を鍛えたりするわけです。 さて、このところ基本練習でよく扱っているゲームがあります。同じ言葉を様々な状況を想定して言ってみて、聞いた人がその状況を当てるというゲームです。以前の ブログ でも紹介したアレです。今日の練習では「なんで」という言葉を使いました。 ところで、演技者はつい当たり前に「伝わるもの」として演技しがちです。「自分では十分伝えているつもり」になってしまうのです。でも現実は案外伝わりきっていなかったりします。このゲームではそんな「伝わらなさ」が実感できます。ただ、このゲームがゲームで終わるか、演技向上に結びつくかは「伝わらない」ことを受け入れるかどうかなんじゃないかと思います。 演出家は、「なんで」がどんな場面で言われたかを伝えるため、「(自分の思う)5倍増しでやってみて」という提案をしていました。5倍増しでするって?難しそう。でも演じている側にしたら、そんな感覚でやってみて初めて「よく伝わる」ことが実感できるかもしれません。

【2022.8.6】ラブソングもの

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 このチームは、村上さん書き下ろしによるオリジナル作品を上演しますが、村上さんは台本を書き始める前に、メンバーがどんな傾向の作品が好きか(関心があるか)丁寧に聞き取って作品に反映させていきます。5月に2年目がスタートしてから、サンプルとなる短編台本を書いてきてくださり、その読み合わせをしてきました。なんと9作品ものサンプルを用意してくださり、それぞれの候補作のイメージを丁寧に共有してきました。そして、どの作品を上演したいか、メンバーにアンケート調査が行われ、結果が今日発表されました。  最も支持の高かったのは「ラブソングもの」ということで、メンバーの半数の支持がありました。第二希望と合わせると7割の支持でした。「バンドもの」も第二希望では最多得票を獲得し、「音楽が絡んだ作品」が多数の支持を集めるという結果になりました。ということで、上演作品は音楽を絡めた作品になりそうです。 ところで、サンプルの台本は「こんな感じ」をわかってもらうためのもので、その続きが書かれていくわけではありません。方向性を共有したというところでしょうか。今日行った次なるプロセスは、「ラブソング」と聞いて浮かぶ「ワードだし」です。メンバーからは様々なことばが出されました。写真はそれらを書き出したものです。 これをもとに、舞台となる場所が設定されたり、登場人物(キャラクター)が決まったりしていくはずです。そして、それらから着想された短い台本を演じてみたり、即興の芝居をしたりすることを通じて、上演作品の骨子が出来上がっていく事でしょう。