【2022.8.13】5倍増し

 役者さんは、演技を通じて自分が表現したかったことを観客に伝える必要があります、例えば大きな劇場で、ステージと客席が離れていれば、離れた人に伝わる演技をする必要があります。日常より大きな仕草にしたり、曖昧な表現ではなく明確な表現にしたり、声が遠くまで届くように声を鍛えたり、言葉が聞き取りやすいように早口言葉を練習したりして滑舌(カツゼツ)を鍛えたりするわけです。

さて、このところ基本練習でよく扱っているゲームがあります。同じ言葉を様々な状況を想定して言ってみて、聞いた人がその状況を当てるというゲームです。以前のブログでも紹介したアレです。今日の練習では「なんで」という言葉を使いました。

ところで、演技者はつい当たり前に「伝わるもの」として演技しがちです。「自分では十分伝えているつもり」になってしまうのです。でも現実は案外伝わりきっていなかったりします。このゲームではそんな「伝わらなさ」が実感できます。ただ、このゲームがゲームで終わるか、演技向上に結びつくかは「伝わらない」ことを受け入れるかどうかなんじゃないかと思います。

演出家は、「なんで」がどんな場面で言われたかを伝えるため、「(自分の思う)5倍増しでやってみて」という提案をしていました。5倍増しでするって?難しそう。でも演じている側にしたら、そんな感覚でやってみて初めて「よく伝わる」ことが実感できるかもしれません。


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