【2023.11.4】リラックス


稽古前に毎回全員でウォームアップをするのがこのチームの特徴です。村上さんはいい雰囲気を作るのが上手な方で、稽古場はいつも楽しい空気に包まれます。今日行った早口言葉の練習は、ただ機械的に早口言葉を言うのではなく、会話のように言ってみました(写真)。間違えたり、微妙に言えなかったり、完璧に言えたり、滑舌の練習ですが笑いがこぼれて和みます。「東京特許許可局局長今日急遽許可却下」こんなセリフ出てきたら大変ですよね。

 さて、演劇をする上で(稽古する上でも)役者にとって大事なことは「リラックス」です。昔の演劇の稽古はとても厳しくて、あの環境でリラックスするのは相当大変だったと思いますが、現代はリラックスできるよう現場を整えるのが主流です。厳しく鍛えないと全員が共有できない特殊な技法や、鍛えぬかれた肉体でしか出せない表現などをする劇団は今もありますので、そんな場合はトレーニング重視でリラックスはあまり気にしないということもあるでしょう。それでも実はリラックスは大事です。

面白い表現をするとき(そうしたものを作り出そうとする時も)、まず「集中」が肝心です。演劇で集中するというのは例えば読書に集中して他の雑音が全く気にならない。みたいに、ある一点に集中するということではなく、芝居の流れや観客の意識など幅広く意識を巡らせながら、かつ自分の演技が途切れないように保てる状態を言います。集中が切れた演技は観客に伝わりますし、退屈を生んでしまいます。

そして、面白いものを作るためには「こんなことしたら変かな」とか「恥ずかしい」といったことを気にせず、なんでもできる(していいと思える)雰囲気を作り、自分の心もそうした状態にすることです。

そのように、集中が高く体も(呼吸も)緊張でこわばっていない、開かれた状態で、自由自在に動ける状態がリラックスした状態なのです。稽古のはじめに多くの劇団では体操をしたり、発声練習をしたりいろいろな準備をすると思いますが、上手なファシリテーターはリラックスを心がけています。これは実は指導する側にとっても大切で、稽古場の雰囲気がガチガチに硬くなっている時には指導する方も緊張してしまうので柔軟なアイデアは出づらいのです。「遊びごころ」と言ったりしますが、意表をついたヒラメキが芝居を面白くしたりします。能のように「型」が決まっている演技であっても、その動きや発語の中に客を引き付ける微妙な変化を起こすことで、客の意識を引き付けるのです。型を型どおりに完璧にマスターしたからといって面白い芝居になるとは限らないのです。(ただ能楽師はウォームアップはしなくて、常からリラックスできる状態になれるようにしておくのだそうです)


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