【2025.3.8】見立て
落語で扇をあたかも箸のように使ってそばを食べる場面を見たことがある方も多いと思います。別のもので他のものを表現することを「見立てる」と言います。「扇を箸に見立てて演じる」みたいに言ったりもしますよね。狂言はあまり具体的な小道具を用いず、扇などわずかな小道具でいろいろなものを表現します。「見立て」を多用しているわけですが、それが狂言の特徴にもなっています。ちなみに江戸時代には「見立(みたて )」という何かを何かになぞらえて面白がる洒落遊びが流行ったそうです。
お互いに向き合って会話している場面なのに、お芝居では二人ともお客さんの方を向いて、お客さんに二人の顔を見せながら、あたかも二人が向き合って話をしているよう演じることがあります。お客さんは二人が向き合って話していることを想像しながら見るわけです。つまり、客席を相手に見立てて演じるということです。(このことばの使い方が正しいか自信はありませんが)このお芝居でも、そんなお客さんのイマジネーションに働きかけるシーンがしばしば登場します。初めてお芝居を見る方はもしかすると「これどういうこと?」と思うかもしれませんが、これもお芝居の醍醐味で、面白さの一つです。
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